chap.2 さようなら。

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「好きとかじゃないよ! すごくいい人だとは思うけど…」 わたしは慌てて否定する。 太一くんに変な誤解をされるのは嫌だ。 ……って、 さっき倉持くんのおかげで 変われるかも的なこと思ってしまった自分が憎い……。 やっぱり倉持くんは お友達なんだな。 「ふーん…… じゃ、俺らも居間行くか」 すくっと立ち上がる太一くん。 わたしも続いて立ち上がる。 「太一くん、あの、 ……あんたとか、お前とか 嫌……なんだけど」 ずっと思っていたことが つい出てしまった。 「…じゃー何て呼べばいい? 言っとくけどこのはちゃんは無理だからな」 少し照れながら太一くんがそう言ったので わたしはおかしくて少し笑ってしまった。 「じ、じゃあ このはじゃだめかな……」 呼び捨てなんて イヤかな? どうしよう無理とか言われたら… 返事がない太一くんの方を見ると ほんの少しだけ首をうなずかせた。 「ん。」 いいってことなのかな? だめって言わないってことは きっといいんだ。 わたしはポジティブにそう解釈して 居間に向かう太一くんについていったのだった。
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