◆荒木くん◆

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「荒木ー!!」 工藤くんが大声で呼ぶと、荒木くんはゆっくりと振り向く。 うっ。 やっぱり、わたしにはすっごくかっこよく見える。 夕陽が荒木くんの髪に透けて、傷んだ髪が少し茶色くなっている。 わたしたちは荒木くんのもとへ駆け寄り、笑顔で話しかける。 「これから一緒にモス行かない?」 わたしが言うと、少しだけ荒木くんの顔が歪んで。 「この可愛い女の子二人と行けるなんて、貴重だぞー」 「工藤くん!」 そんなこと言ったら、行ってくれないに決まってる。 荒木くんの顔を見ると、眉間にシワを寄せ明らかに不機嫌そうな表情。 最悪……。 「ほら、新発売されたのもあるし!お金ないなら、わたし奢るからさ」 奢るなんて、他の人には絶対しないのに。 こんなに必死になっちゃうのは、荒木くんが好きだから。
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