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だけど、荒木くんは
「行かない。時間の無駄」
真顔で吐き捨て、そのまま去ってゆく。
そして、わたしの横を通り過ぎるとき。
見間違いかな。
荒木くんが鋭い瞳で、わたしを睨んだ気がした。
その視線に凍りつき、動けなくなったわたしにつっちーが気を使ってくれる。
「荒木、きっと用事あったんだよ。あんまり気にしない方がいいよ?」
「…うん」
少し、期待してた。
もしかしたら、行ってくれるかもって。
…バカみたい。
数秒前の自分を、殴ってやりたい。
「気にしてないよ!ほら、行こ行こ」
わかってたはずなのに。
荒木くんは、人と関わるようなことはしない。
だから、わたしが誘っても行ってくれるわけないのに。
目の縁に、涙が溜まっているのがバレないように無理やり笑顔を作る。
そんなわたしを、工藤くんが真顔で見つめていた。
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