◆荒木くん◆

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だけど、荒木くんは 「行かない。時間の無駄」 真顔で吐き捨て、そのまま去ってゆく。 そして、わたしの横を通り過ぎるとき。 見間違いかな。 荒木くんが鋭い瞳で、わたしを睨んだ気がした。 その視線に凍りつき、動けなくなったわたしにつっちーが気を使ってくれる。 「荒木、きっと用事あったんだよ。あんまり気にしない方がいいよ?」 「…うん」 少し、期待してた。 もしかしたら、行ってくれるかもって。 …バカみたい。 数秒前の自分を、殴ってやりたい。 「気にしてないよ!ほら、行こ行こ」 わかってたはずなのに。 荒木くんは、人と関わるようなことはしない。 だから、わたしが誘っても行ってくれるわけないのに。 目の縁に、涙が溜まっているのがバレないように無理やり笑顔を作る。 そんなわたしを、工藤くんが真顔で見つめていた。
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