◆どうしても◆

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少し怖い。 だけど、言わないで後悔するのは嫌だ。 「あっ、荒木くん、おはよう」 声が裏返った。…恥ずかしい。 大丈夫。 いつも、返してくれるんだし。 今日もいつもみたいに面倒くさそうな顔で「おはよ」って言ってくれる。 そんな自分の中での小さな自信も、一瞬で粉々に砕け散ってしまう。 ガタッと荒木くんが席を立ったと思うと、わたしを鋭い瞳で睨み「ちっ」と小さく舌打ちした。 びくっと強張る肩。 泣きそうなわたしを置いて、荒木くんは挨拶を返してくれるはずもなく、そのまま教室を出ていく。
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