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どうしよう。
…辛い。苦しい。
わたしは下唇を噛みしめ、込み上げてくる涙を堪えた。
そばでつっちーが心配そうにわたしを見つめている。
「ちとせ」
気を使ってくれてる。
つっちーの控えめな声色は、貴重だ。
「うん。大丈夫」
ニコッとわたしは微笑んで、自分の席に腰をおろす。
…泣くな。泣くな。
拳をぎゅう…と握る。
爪が食い込んで、痛い。
「無理して、笑わなくていいのに……」
つっちーが一人で呟く。
「もう見てらんないよ、あんな顔」
その声は、誰の耳にも届くことはなかった。
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