◆最低男。◆─陽─

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「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」 土田さんの大きな声が、廊下に響く。 俺はその声を無視して歩みを進める。 鬱陶しい。 あいつのことなんて、考えたくもない。 あの顔を思い出すだけで虫酸が走る。 廊下の片隅で、壁をダンッと強く殴る。 拳がじんじんと熱を帯びて痛い。 「くそっ…」 髪をくしゃっと掻き上げる。 呟いた声は、誰かに聞こえるはずもなかった。
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