◆最低男。◆─陽─

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ガラッと教室の扉を開ける。 すでにHR始まっていた。 みんなの視線が一気に俺に集まる。 「荒木ー、遅刻だぞ」 先生が俺に叫んで呆れた顔をする。 「すいません」 一言棒読みで言って、自分の席へ向かう。 直接顔を見なくてもわかった。 橋本さんが、俺を見てる。潤んだ瞳で。 見るなよ、そんな顔で。 泣くなら俺なんかやめればいい。 だいたい、俺のどこを好きになったっていうんだ。 なんでよりによって…、橋本さんなんだ。 ガタッと大きな音を立てて席に座る。 その音は予想以上に教室に響き、橋本さんの肩がまたびくっと震えた。 「荒木、静かに座りなさい」 先生の言葉を無視して、ポケットの中にある「それ」に指先で触れる。 こうすると落ち着く。 「はぁ」と先生の大きなため息が聞こえた。 わざと俺に聞こえるようにしたんだろう。
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