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ガラッと教室の扉を開ける。
すでにHR始まっていた。
みんなの視線が一気に俺に集まる。
「荒木ー、遅刻だぞ」
先生が俺に叫んで呆れた顔をする。
「すいません」
一言棒読みで言って、自分の席へ向かう。
直接顔を見なくてもわかった。
橋本さんが、俺を見てる。潤んだ瞳で。
見るなよ、そんな顔で。
泣くなら俺なんかやめればいい。
だいたい、俺のどこを好きになったっていうんだ。
なんでよりによって…、橋本さんなんだ。
ガタッと大きな音を立てて席に座る。
その音は予想以上に教室に響き、橋本さんの肩がまたびくっと震えた。
「荒木、静かに座りなさい」
先生の言葉を無視して、ポケットの中にある「それ」に指先で触れる。
こうすると落ち着く。
「はぁ」と先生の大きなため息が聞こえた。
わざと俺に聞こえるようにしたんだろう。
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