◆最低男。◆─陽─

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その時、教室の扉が開いて土田さんが入ってきた。 「土田ー!おまえまで遅刻か」 「ごめんごめん」 土田さんは悪戯っ子のように笑い、先生にため口で言う。 「早く席つけー」 「あーい」 土田さんが席についたのを確認した先生は、中断してしまったHRを再開させた。 HRが終わった途端、橋本さんが慌ただしく席を立ち、土田さんの席に駆けてゆく。 「つっちーなんで遅刻したの?」 土田さんは視線をキョロキョロ泳がせ、チラリと俺を見たあと頭をポリポリと掻く。 「ちょっくらおトイレに」 わかりやすい嘘だ。 バレバレの嘘に騙されるわけないだろう。 「そうなの?もう平気?」 …騙されてる。 橋本さんは本気で土田さんを心配している様子だ。
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