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ジーっとよく見ると、伏せた目から伸びる長くてふさふさの睫毛。
小さいと思っていた目は、予想以上に大きくて。
切れ長の目に、睨んだような視線。
まるで世界を、全否定するような。
「かっこよかったの!」
「幻じゃん?」
「現実ですー」
みんな、荒木くんを地味だって決めつけてるだけだよ。
わたしの知ってる荒木くんは、かっこいいんだから。
「ふーん。うちには、ちとせの趣味がわかんないわ」
「わかんなくていいよーだ」
───高校二年、17歳の夏。
わたしの荒木くんへの気持ち。
大切な大切な気持ちが、実るといいな。
暑さに紛れて、わたしの中の勇気や根気を、夏が呼び出してくれそうな気がした。
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