第一章 サッカショウ

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「…まあでも、少なくとも俺は興味持っちゃったかも」 呟くように小声で言ったかんすけくんに、あたしは、えっ?と聞き返した。 聞き間違いだよね。 「…なんでもないっス!」 ニカッと笑うと、並んだ白い歯がきれいだった。 …うん、やっぱ聞き間違いだ。 その時はそう思って、すっかり安心しきってた。 やがて、煌々と窓明かりの灯る病院の玄関に着くと。 「じゃあ、お大事に!…相田さんもね。」 と、かんすけくんはあたしの背中を指でしめして、ウインクをした。 あたしはお礼を言うのも忘れて、遠ざかるかんすけくんとワンコの後姿をしばらくボーっと見送った。
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