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病室の妹・美羽はあたしをみると花みたいに笑った。
「あ、おねえちゃん、おかえり。」
「ごめん、遅くなって。」
あたしはビーズの瓶をベッドの上のテーブルにコトリと置いた。
「ハイ、頼まれてた色の。」
「わーい!ありがと!」
美羽はやせ細った手で瓶をとると、中のビーズを覗いた。
「キレ~イ!…あれ?なんか枯れ草が混じってるよ。」
「うん、実はね、来る途中土手のとこでばら撒いちゃったんだ。」
…と、あたしは土手での話をした。
かんすけくんが、拾うの手伝ってくれて、そしてここまで送ってくれたことも、話した。
病院で退屈しきってる美羽に、あたしは元気付けるネタになりそうな話ならなんでもする。
「ふーん。優しいね、その一年生の人」
「うん。…そいでそのかんすけくんが連れてた犬がまた、でっかくて可愛くてさ。」
「えぇ!?美羽おっきい犬大好き!なんて名前?」
「えっと、…なんて呼んでたかな~。…ヒロユキとか、アツノブとか、なんか人の名前みたいだったよーな…」
正解は『のぶてる』だったんだけど、その日はどうしても思い出せなかった。
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