第二章 ビーズのナミダ

18/18
4307人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
だけど。 途中まで走っていったかんすけくんは突然立ち止まると、風のようにあたしのところに戻ってきた。 そして微笑んで、耳元に囁いた言葉にあたしの胸がドキンッと踊った。 「ね。一緒に帰ろうか。…」 「…え?」 「すぐ行くから門で待ってて。」 息を飲んで見上げた彼の肩越し、階段から降りてきた女の子がこっちに気づいて。 「あっ!!かんちゃん!ちょっと~もー超カッコよかったんだけど…て…あ!」 かんすけくんはそのまままた踵を返すと、彼女たちには目もくれず、行ってしまった。 「ねエ、待ってよ、かんちゃん…!!」 「…相変わらずクールだよね~!…でもそこがまた…」 そんな風にきゃっきゃと話す女の子たちの声も、あたしは耳に入らなかった。 一緒に帰ろうかっ…て え・・・・マジ?
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!