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勘のいいさやかはすぐに思い当たったらしく。
「あっ!…あんたまた、ユウキに強引に?…」
あたしはのたのたと髪を整えながら、項垂れて、ん、と答えた。
「…あいつ!呆れるよねほんっと。…校内でなんて。凛。あんたも何で言わないの!はっきり『いや』って。」
さやかはお母さんみたいな口調であたしを叱った。
いつも、あたしのことを心から心配してくれてるからこその苦言。
「だって。…あとが恐いんだもん」
さやかは顔を険しくして、はあ~っと溜息をつくと。
「…いい加減、あんなやつと別れたら?あんたのタイプじゃないでしょ、ユウキは」
「ん~…。…でも」
「…だーっイライラするわ!…もお!…先帰るね!」
やば。
怒らせたかな。
でも少なくともユウキよりはずっとずっと優しいの知ってるから、平気。
あたしは、遠ざかるさやかの背中に手を振ると、医務室へと向かった。
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