第一章 サッカショウ

6/20
前へ
/304ページ
次へ
勘のいいさやかはすぐに思い当たったらしく。 「あっ!…あんたまた、ユウキに強引に?…」 あたしはのたのたと髪を整えながら、項垂れて、ん、と答えた。 「…あいつ!呆れるよねほんっと。…校内でなんて。凛。あんたも何で言わないの!はっきり『いや』って。」 さやかはお母さんみたいな口調であたしを叱った。 いつも、あたしのことを心から心配してくれてるからこその苦言。 「だって。…あとが恐いんだもん」 さやかは顔を険しくして、はあ~っと溜息をつくと。 「…いい加減、あんなやつと別れたら?あんたのタイプじゃないでしょ、ユウキは」 「ん~…。…でも」 「…だーっイライラするわ!…もお!…先帰るね!」 やば。 怒らせたかな。 でも少なくともユウキよりはずっとずっと優しいの知ってるから、平気。 あたしは、遠ざかるさやかの背中に手を振ると、医務室へと向かった。
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4308人が本棚に入れています
本棚に追加