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「香、行っちゃ駄目!!!
香っ!!香!!!」
クリスティーネは必死で叫んだが、
香は号泣しながら病院の奥の方へ姿を消した。
クリスティーネは慌てて香を追いかけようとしたが、
秀平がクリスティーネの腕を握り、ニヤリと笑う。
「そう簡単に行かせる訳ないじゃないか!!
お前の相手はこいつらだよ!!」
秀平がピューと口笛を吹いて合図をすると、
椅子の下やら天井から目を見開いた人達が姿を現す。
クリスティーネは攻撃しようとフルートの剣を抜いたが、
自分の周りを囲んだ人達を見て目を白黒させ、
剣をフルートの形に戻す。
それを見た秀平は乾いた笑い声を上げ、楽しそうに尋ねる。
「どうしたの?
早く殺さないと、香の所に行けないよ?」
クリスティーネは秀平をギロリと睨むと、少し震える声で怒鳴る。
「・・・そんなこと出来る訳ない!!
この人達は皆―
私達にとって大切な人達でしょ!!」
その時、丸太棒を振り上げた香の父がクリスティーネを後ろから襲う。
クリスティーネは香の父の攻撃を交わし、飛びのいたが、
飛びのいた所に六条先生が果物ナイフを持ったまま、突進してくる。
クリスティーネは迫りくる人達を何とか避け、逃げまどう。
秀平はおかしくてたまらない様子でお腹を抱えて笑う。
そして目をギラリと輝かせ、声高に命令する。
「エルの奴隷となり果てた者達よ!!
王の娘の心臓を銀の毒が塗られたおのおのの武器で狙い、
娘を永久に追放せよ!!
そしてこの世に君臨せんとするエルを崇め奉ろう!!!」
奇声にも怒声にも聞こえるような声を人々は上げ、
クリスティーネに向かって一斉に飛びかかる。
クリスティーネは目を瞑り、胸の所でフルートを両手でぎゅっと握り締める。
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