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香は暗がりの中で勢いよく転んだ時、恐る恐る周りを見て我に返った。 ・・・ここはどこ? あれから階段上がったかも、下がったかも覚えていない。 あの時はとにかく生首に怯えて・・・ とにかくクリスティーネを捜さなきゃ。 私とクリスティーネをこんな風に離れさせるのが目的だとしたら、 今クリスティーネは危ない目に遭っているはず。 自分が罠にかかっている可能性もなきにしもあらずだが、 今見る限り追っ手らしき者はいない。 となると、やはり狙いは彼女だったとしか思えない。 香は割れた窓から外を眺めてみた。 一番近くにある二階建ての家が今いる所からだと、 半分くらいの高さに見える。 ということは、ここは恐らく3~5階くらいということが推測出来る。 クリスティーネと一緒に入った所に行くには、とりあえず一階を目指して階段を下りるしかない。 香はポケットから携帯を出し、 辺りを照らしてみた。 どうやらここは病室しかない階らしい。 部屋の入口らしき所から幾つもベッドが見える。 携帯の光を頼りに香は廊下を歩き、何とかして階段を見つけた。 香がホッと胸を撫で下ろし、階段を降りようとすると、 何か聞こえた。 ピチャン ピチャン ピチャン ピチャン ピーピー・・・ 香は震えながらも音のする方を振り返る。 すると廊下の奥の方だけ何かが点滅しているような光が漏れている。 香は怖くてそのまま見ないふりして階段を降りようとした。 だがもし逃げ回っている間にクリスティーネがあそこに捕らえられていたら・・・ でもエルがいるという可能性も・・・ 弓を折られた今、私が使える武器はない。 でもこのまま何も確かめずに のこのこ降りていけば、敵の罠にかかるだけ。 それなら、あれが罠だとしても、私は勝機の可能性を掴める方に賭けたい。 香は決意し、階段に背を向け、 光の漏れる方へ歩み始めた―
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