枯渇に沈む

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枯渇に沈む

枯れいく世界、ほろ苦い空気が喉を過ぎる。 限知の中で人は、当然の如く口を開く。 物事の区切りに、状況を見出し、綴じながら・・・ 与えられた全てで、今を踏み出していく。 節目、 人種、 慶弔、 善悪、 美醜、 理不尽な痛み。 止められない涙の跡には、晴れ晴れしい願い。 幾つの亡骸と語り合えば、答えが解る? 息を忘れてしまうくらい物悲しい夢に、 吹き荒れる砂嵐は容赦無く、絶え間無い。 救いなど無い。 吸い上げた水は、底の無い望みへと果て。 枯れいく世界、大好きな人がこの手を過ぎる。 既知の中で人は、置かれた立場を生きる。 優劣、 大小、 内外、 有無、 増減、 枯れ果てた絶望。 止められない涙をその手で、何度掬い上げればいい。 どんな言葉で語り尽くせば、笑いあえる? 明日を忘れてしまうくらい充たされない今が、 そんな苦しみを摘み取り、放り棄て、深い眠りへと。 別の眼へと移り行き。 どこかでまた、咲き乱れる。 いつかまた、咲き乱れる。
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