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縁
知識は、今の自分を奪い去る。
理性を塗り固め、無力さを知り、他人の幸せを知り、醜さと諭し、
無知であることではいられなくする。
ただ、後戻り出来ない。
世界は、広がると共に分裂した。
自ら提起した問題を解決して、流れ込む情報をその言葉のまま、
噛み砕いてその心に刻み付ける。
また、君が変わってしまう。
無力さも互いに補うことで、何かを得てきた。
人類とその文明の残心が本日も響き、
願わくば平穏な専制に、微少な自由さえ縛り上げて欲しい。
アイデンティティと幼さの名残が、譲れない世界で、
与えられた少量の平等と、溢れ出す権利と義務に泣き喚いてるから。
ただ、それだけ...
情報は、居場所を教えてくれる。
秩序の柵を立て、文明を周知し、感情に彩りを添え、神経を庇う。
日々、手の届かない世界が広がり続ける。
また、俺が変わっていく。
力で争い、競い合うことで、何かを得てきた。
厳かその式典に立場から沸く拍手を、
代えはきかぬ命短し、重なり続ける、その名と明日。
生きる為の本能の根源は、いつまでも変わらないのか。
袂を分かち続ける足跡は、鬩ぎ合う言葉とその声でひとときの契りを...交わす。
知る限りの言葉に、新しい意味を...
全ての言葉をつづり終えたその時の空には、
穏やかな景色が果てなく広がり、
あるがままの声と素顔がそこで笑っているだろうか。
俺は縁の下の日陰でもかまわない。
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