歩みを止めた心

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歩みを止めた心

何かの視線を感じながら、独り舞台演じていた。 試しているかのような誰かの問いに言葉選びながら・・・ 口を閉ざした・・・ 何時だって正解が欲しかった、皆が満足するような。 老いていく現実を知り、何もしない自分を他人のせいにして・・・ 焦り、滲んでいく・・・ 歩みを止めた心は、 無関係でも、何もかもが欲しくて。 あの日を連れ去った、 理不尽な別れが、打算的な優しさが、 今を諦めることが幸せなのだと・・・ 自分さえ言い聞かせられず、孤独な刺激に目を閉ざせない。 企画倒れの残骸が口先だけだと嗤っている。 明日の俺へ、侘びよう。 言葉が出てこないから、 物言わぬ屍と同じ。 この手で開けていくのは、 同じ色、同じ形、同じ音の扉だけ。 歩みを止めた心は、 圧し掛かる責に、何もかも投げ捨てたくて。 あの日を連れ去った、 溢れ出す情報が、立ち眩む現実が、 今を受け入れることが出来ないと・・・立ち尽くしている。 迎え火、煙る視界。 吸い込む。 苔生した骸が朝陽に照らされるまで・・・
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