亡霊

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亡霊

送り火、立ち昇る。 何を想う。 息間に、何度も尽きる。 苦しさが。 その目に映る文字は、 どんな色の世界だ。 二つの世界を同時に生きているようだ。 歯痒さ、誰かに答えを探しても。 そこには誰も居なかった。 真似事、絵空事、 他人事。 感じ尽くし、圧迫される。 苦しさが。 この手が殴る文字は、 どんな音の世界だ。 供養の線香を両手に握り締めながら、 己に、問い掛け答えを探しても。 そこには何も無かった。 ただ、何も。
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