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倉持さんは文句を言うことも無く私に付き添い家まで送ってくれました。
まるで王子サマの様なエスコートっぷりで
あれほど悪魔な言動をしていた彼とは別人みたいです。
病人だから優しいのでしょうか。
だったら私ずっと弱ってたいです。
「本当にお借りして大丈夫ですか?」
自分のコートを私にかけてくれて
スーツだけで帰ろうとしている。
「大丈夫」
返そうとしても頑なに拒否をする。
風邪うつらないか心配なのに、マフラーだけ首に巻いて彼は口角を上げた。
「芦高さん。
治ったら迷惑料でご飯でも奢ってね」
家の前でタクシーから降ろされると後ろから言葉が投げられた。
「はいっ
それは勿論!」
こくこく頷くと
ぷっと吹き出して「お大事に」と
手を振られた。
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