接近

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壁にかかっている倉持さんのコートが目に入る。 昨日の出来事が現実だったんだと実感。 ベットに横になったまま天井を見つめた。 倉持さんに優しくされると 嬉しいより 怖いという気持ちが先に出る。 好きになりそうだから? 勘違いしちゃいそうだから? でも……当分いいや。そういうの。 私は手にした問題を投げた。 目の前が急にぼやける。 瞬きをすると目尻から涙が流れる。 「何で泣いてるの…………」 腕を交差させ顔を覆いながら呟いた。 掠れた声は誰にも届かない。 急に実感してしまった。 私、独りになったんだな…………。  
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