気後れ

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「…………」 小さな溜め息と共に 短く了承の旨を伝えた。 今まで全く接することが無かったから、倉持さんを気にすることなんて無かったのに 知り合ってしまってからは気になって探してしまう。 でも見る度女の人に捕まっている彼を見かける。 何だか直視できなくて下を向いてしまう。 倉持さんに声を掛けられることは無いって分かってるのにな。 水曜日 定時に上がった私は先に家に帰って連絡を待っていた。 テーブルの上のスマホが振動して慌てて手を伸ばす。 「も…もしもし」 『お疲れ、今下にいる』 「はい。じゃあ届けに行きます」 『ちゃんとコート着てきてね』 「え?はい」 外そんなに寒かったっけ?と疑問に思いながらも倉持さんに言われた通りコートを着て彼のコートを持ち部屋を出た。 今日は3月中旬の気温と言われていたから何時もより外に出るのが辛くない。
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