傷に塩

6/20
前へ
/435ページ
次へ
「…………」 次の日 舘野さんとすれ違った。 私はいつも通り前を向いたまま。 でも、今までは彼の視線を感じていたのに 此方を見ていないのが分かった。 切り替えの早さに驚きます。 あなたにとって私は なんだったのでしょうか。 騙しやすい 手軽な女だったということですか? 金曜日 美紀とご飯の約束をしていた。 いつもはどこ行く?と事前にお店を決めるのに今日は会社を出てから迷うことなく歩き出した。 「美紀、お店決めてあるの?」 「うん」 「どこ?」 「あそこ」 そう言って指を差す彼女の指先を追うと駅直結のビルがあった。
/435ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2697人が本棚に入れています
本棚に追加