─episode1─

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欠伸をしながらそう言われた椿は決していい気分ではなかったが、差程気にする事なく言うとおりに挨拶をする。 「神下椿です、よろしく」 当たり障りのないごく普通の挨拶。平和な学校生活を送るためにも第一印象は大事であり、自己紹介でコケるような失態はしたくなかったのだ。 逆にこれ以外の自己紹介があるなら見てみたい、そう椿は思っていた。 そしてそのごく普通な挨拶により教室中は拍手に包まれる。 その拍手や生徒達の様子からも椿の挨拶が上手くいったことが表れていた。 「席は適当に空いてるとこでいいぞー、一限目は自習だー」 ダルそうにした教師はそう言うと教室を出ていく。 空いてるとこに座れと言われた椿であったが、席は3つほど空席があり、どこに座ればいいか迷っていた。 もしかしたら欠席者の席もあるかもしれない。転校したばかりの椿には何も分からなくて当然であり、困惑するのも無理はなかった。 転校生を放置の状況に多少困惑していると、不意に声をかけられる。 「おい、転校生、こっちこいよ!ここ空いてるから」
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