2人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫か?」
「いや、疲れた。でも大丈夫だ、ありがとう」
「なんか正直で面白い奴だな」
隆司はハハハとにこやかに笑っている。
笑顔を見せ強がっている椿だったが、顔にはやや疲労の色が見て取れた。実際チャイムが椿にとって救いの鐘であったことは間違いない。
しかし、疲れはしたもののクラスと上手く馴染んでいけそうであり、たくさんの生徒と会話出来たため悪い気分ではなかった。
「ちょっと息抜きにトイレに行こうぜ」
立ち上がった隆司を見て、椿も応えるように一度頷き席を後にする。トイレの場所などすぐに分かるだろうが一応見ておこうか─初めての学校を見るためにも隆司の誘いはありがたいものだった。
そのまま二人で他愛ない話をしながらトイレへと向かっていく。
このとき椿には質問の嵐やクラスで上手く馴染めていけそうな期待感により、頭からあのことなど抜けていた。
それにより、椿は再び驚く事となったのだ。
「…!?」
トイレを済ませ、手を洗おうとしたときだった。鏡に映っていた光景に目を疑う。
すっかり鏡の事を忘れていた椿だったが驚いたのはまた別の理由だった。
最初のコメントを投稿しよう!