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鏡に自分の姿が映っていない。そのことに頭が追い付くと同時に得体の知れない状況が恐怖心をどんどん膨れ上がらせた。
しかし、それと同時にその状況に対する好奇心も椿は持ち合わせていた。
鏡に姿が映らないという状況は現実的にあり得ない。もし映らないとしたら霊だとかそういった類のものであろう。しかし、椿は生きているしその実感もある。
これは心霊現象なのだろうか、鏡に触れたらどうなるのだろうか。そういった好奇心が椿の心の内で膨れ上がっていったのだ。
そして、その好奇心は無意識に身体を動かしていた。鏡へとゆっくりと手を伸ばす。
その手は当然鏡にぶつかるだろう、という思いのもと伸ばされた。
「っ!?」
しかしそう思っていたが故、今の状況に声にならない声をあげ、目を見開き驚く。鏡に伸ばされた手は鏡の物理的感触を得ることなく、その中へと突っ込まれたのだ。
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