プロローグ

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『その時』は何の前触れもなく、事前通告も無しに、まるで寝首をかくように訪れた。 「うぉおあっ!うっく……!あぁっ!あああっ!」 優しい眠りに抱かれていた僕はその日、人生で最も最悪な目覚めを体感した。 突然夢から僕の身体を覚醒させたのは、頭の中を何かが激しく暴れているようなとてつもない頭痛。 今にも頭が爆発してしまいそうな程の激しい痛みに耐えられず、僕はベッドの上で狼狽えながらのたうち回る。 いつの間にかベッドから毛布ごと落下して、今度は床の上を転げ回った。 「うああっ!うああっ!ううっ!あああ!」 そこら中の物を散らかしながら、そのまま悶えて何分が経過しただろうか。 いつしか痛みは徐々に引いていき、ようやくマトモな思考が出来るようになった時、まだ痛みを発する脳内を回転させて原因を探ってみたが、心当たりがまるでない。 「はぁはぁ……はぁはぁ……な、何だったんだ……」
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