プロローグ

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寝る前に何かをしたとか、酒を飲んでしまったとか考えてみるが、特に何かをした覚えもなければ、未成年であり、まだ高校二年の僕が酒なんて飲むはずはない。 片手で痛みの余韻の残る頭を押さえてゆっくりと立ち上がってみた。 頭痛でのたうち回ったせいでグチャグチャに散らかってしまった室内に思わずため息を洩らしつつ、壁に掛けられた安っぽいアナログ時計を確認する。 「え……」 何か妙な感覚だった。 時計の秒針はしっかりと時刻を刻み続けているので、時計が壊れてしまった訳ではないようだ。 ここは学校の寮、地上六階、623号室。僕の住んでいる部屋。 窓はベランダに繋がるガラス戸、それは部屋の東側にあって朝になれば目映い日差しが出迎えてくれるはずだった。 時刻は8:30。 寝たのは間違いなく夜0時近辺。普通に考えれば午前八時半のはず。 だがカーテンの閉まった窓はまるで夜のように暗く、とても午前八時半だとは思えない。
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