プロローグ

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電話の向こう側のみっちゃんは、理由はよくわからないけれど、何故だか語気が荒い。どうやら不機嫌なようだ。 最悪な寝起きから始まって、不機嫌なみっちゃんからの電話というのは、これまた随分と悪い連鎖反応である。 「えっと、まぁ、起きてたには起きてたんだけど……イレギュラーが発生してさ……」 「……はぁ。どうせ寝ていたんでしょう?とりあえずさっさと外を見た方がいい。早くしないと『見逃す』ぞ?」 「見逃す……?」 みっちゃんの『見逃す』という言葉に対して、また新たな違和感を覚えた。 昨日、一昨日と遡ってみても、みっちゃんの言った『見逃す』という言葉が指し示すものは全く見つからなかった。 『僕が忘れる事は無い』はずだが、答えがわからないと言うのは極めて異質な事である。 「寝惚けているのね。遙輔が忘れるわけ無いでしょう?今日が何の日だと思っている?」 今日は……今日は2012年11月22日。 特にこれといった予定は無く、昨日は世間を騒がせるようなニュースは無かったはず。
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