二、夜∽旧校舎

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僕がそう問いかければみっちゃんは口端を吊り上げて得意気に微笑する。 みっちゃんがこういう顔をする時は、何かを思い立った時か、それなりに有益な情報を手に入れている時かのどちらか。 普段から妖しげな笑みを浮かべる事は多いけど、この得意気な笑みとはまた少し違う。 幼馴染みだからこそ、そういう微妙な違いもわかってしまうのだ。 「あぁ、もちろんだ。実際に起きたかどうかはわからないが、有力な噂話は聞いてきたよ」 「どんな感じ?」 「……十数年前、一人の教師が自殺した」 みっちゃんがそう口にするとその場の空気が一気に静まり返る。 「生徒達からの壮絶ないじめに遭い、それに耐えられなくなっての事だったらしい。そして……『彼女は音楽の教師』だった」 その言葉を聞いて、背筋に寒気が駆け抜けていく。 「ひぃっ!」
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