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心なしか少し後ろを歩いていた瑠偉先輩の顔色も優れていない様子。
特に藍那ちゃんがこれだけ騒げばまず間違いなく突っかかってくるはずの瑠偉先輩がこんなに静かだなんて、それこそ例えるなら僕が道行く女性にいきなりプロポーズするくらい起こらない事である。
一体何が今日の瑠偉先輩をそうさせているのだろうか。
「おい遙輔、お前何か言いたい事でもあんのか?」
「え……?いや、特には……」
「ならジロジロ見てんじゃねぇーよ」
そのイケメンの眉間にしわを寄せて放たれる眼力は鋭く、口調も絶好調のようだが、やはりその顔色といい本調子には見えない。
「ご、ごめんなさい」
「まぁ聞け諸君。核心に迫るのはここからだ」
脱線した会話を軌道修正して、再び得意気な笑みを浮かべて噂の核心なる部分を語り始めたみっちゃん。
正直これからその噂が囁かれている場所に踏み込もうとしているという事を考慮すると、怖いものがそんなに得意ではない僕としてはあまり聞きたくないというのが本音。
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