二、夜∽旧校舎

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だけどもちろんみっちゃんがそれを許してくれるはずがないというのは経験で知っている。 そんなみっちゃんの一面を思い出して思わず苦笑い。 「ブラック先生から聞いた情報によると、音楽室からピアノの音が聞こえてくるというもの。確かに自殺したのは音楽教師で、その霊体がピアノを弾いていると考えるのが普通。君たちも今、そう思っていただろう?」 確かにみっちゃんの言った通りの事を僕は予想していた。 それは僕だけじゃなく、きっと周りのみんなも同じ事を予想していたんじゃないだろうか。 幽霊が夜な夜なピアノを弾いているなんて、どこの学校にもありそうな怪談である。 「彼女が見つかった時もピアノの音が鳴っていた。音を奏でる訳ではなく、坦々と不協和音が響いていたそうだ。他に誰もいなかった音楽室で、何故ピアノの音が鳴っていたのか。わかるな遙輔?」 突然の無茶振りを受けてドキリとしてしまったが、頭の中で何となくその答えが浮かんでいたので、特に捻りもなくそのまま口に出した。 「全身が切り刻まれていたなら血塗れ。血が滴ってピアノの鍵盤が音を奏でた……とか?」
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