二、夜∽旧校舎

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「その通りだ」 正解した事にまず自分自身が驚きだ。 藍那ちゃんは自分の頭を潰そうとしてるかのように両耳を力一杯塞いでいる。 どうやら今の話は聞こえていなかった様子。 その隣を歩いていた緑川先輩は中指で自分の眼鏡を軽く上げ、少し考え込むように顎に手を置く。 「滴る血が鍵盤を鳴らす……。まるでホラー映画のワンシーンのようですね。ですが、少々信憑性には欠ける気がしてしまいます」 「ほう、それは一体どういった理由からかな?龍之介君?」 「その音楽教師の身長が小柄だと仮定し、身長が150㎝だったとして、その彼女が首を吊ったヒモが天井から三十センチ伸びていたとしましょう。彼女の下にはピアノがあり、その高さが120㎝だったとしたらどうでしょうか。音楽室という事で他の教室よりも天井が高かったと考えても、滴り落ちた血液が鍵盤を押す程の力になり得るでしょうか?」 さすが緑川先輩、妙に説得力のある意見を提示してくる。 「さぁ、どうだろう。しかしこれはあくまで噂だ。この話を証明出来るものは何もない。諸君にはこの話を頭の隅にでも置いておいてもらいたい」
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