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「ほう、つまり藍那はここで一人で待っていたいと?」
周りを見渡した後、体を震わせる藍那ちゃんはとうとう観念したように泣きそうになりながら呟く。
「……行きます……」
敷地内への入り口は大きな門によって封鎖されていたが、その脇のフェンスが壊れていたのでそこから敷地内へと侵入。
その校舎に近付いていくにつれて僕の心拍数が上がっていくのは、僕の体が危険を感じている証拠なんだろう。
本能が危険を感じているというのに、本当にこのまま行ってしまっても平気なのだろうか。
なんて事を考えつつも校舎の目の前に立った僕たち。
目の前にそびえ立つのは夜の旧校舎。
尋常ではないという言葉は、まさにこういう時にこそ相応しい。
「これは……けっこう怖いなぁ……」
「そうですね。風貌なら他の心霊スポットなんかよりも『らしい』というべきですか。根も葉もない噂が持ち上がっても不思議でないかもしれません」
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