二、夜∽旧校舎

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「オカルトと心霊は切っても切れない仲ですからね。これも研究の一貫としては十分成立します」 爽やかな笑顔でそんな事を言われても、こちら三人組には気休めにもならない。 先程の音に恐怖心を煽らされ、僕自身も心拍数が急上昇してしまっている。 出来ればこの先には進みたくないが、そんな意見が通るわけもないのはわかりきっているので敢えて何も言わない。 悠々と歩く前の二人とは対照的に、訳もなく足音を殺しながら続く三人。 もはやそこに活気などなく、僕たち三人の口数は急激に少なくなった。 数年の間放置されていたこの校舎の中は、たまにテレビなんかで映る廃墟そのものと言っても過言ではない。 ガラスは割れて破片は散乱して、壁や床は色褪せて、積もった塵によってざらついている。 所々にスプレーで作った落書きを見かけるが、これは廃校になった後に描いたもののはずなので、こんな風にここに忍び込んだのは僕たちだけではなかったようだ。 それにしてもわざわざこんな所に落書きをするなんて、みっちゃんにも負けない強心臓の持ち主なのだろう。
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