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なんてどうでもいい事を考えて恐怖心を和らげようとしてみても、一旦芽生えたそれは簡単に消えてはくれない。
ビクビクしながら階段を登り三階に差し掛かった時、僕たちの鼓膜を揺らす僅かな音が聞こえた。
ポロン……
「ひぃっ!」
断末魔のような声を上げて跳び跳ねた藍那ちゃんにつられて僕も肩を揺らしてしまう。
さっきの物音みたいな音だったら何かしらの説明をつけて自己解決する事も可能だが、今回の音はそうはいかない。
「ピアノの音……」
僕の耳が特別優れているという訳ではないが、特殊な能力を持っている僕がその音を聞き間違える訳もない。
そう、間違いなくピアノの音だった。
「そ、そんな訳あるかよ!耳がおかしくなっちまってんじゃねーのかお前ら!」
「いや、今のは間違いなくピアノの音だったと思うぞ瑠偉君。少なくとも長年ピアノと触れ合ってきた私にはそう聞こえた。遙輔もそう思ったのだろう?」
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