二、夜∽旧校舎

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「う、うん……」 「ならば後は現場で真相を究明しようじゃないか」 何も起こらないと思っていた。 噂はあくまで噂であり、僕たちが行ったその時に限ってタイミングよく怪奇現象など起こるはずはない、そう高を括っていた。 だがしかし、みっちゃんが仕入れてきた噂にあった『ピアノの音』が実際に聞こえてしまっている。 それを考えると背筋が凍りついたように震えてしまう。 僕の体がこの先へ進むのが本当に危険であると言っているような気がしてならない。 特に僕の場合、見た事、聞いた事、感じた事、そのすべてを忘れる事の出来ない特異体質。 本物の幽霊を目撃してしまえば、そのまま一生僕のトラウマとなる可能性だってある。 「あ、あのさ、やっぱり引きかえ……」 「幽霊は怖がっている人に取り憑きやすいという傾向があるようですよ。心をしっかり持つように心がけてください」
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