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ピアノがこんなにど真ん中に置かれてる所から考えても、その事件の後にこのピアノが使われなかったとは考えにくい。
妙な趣味を持った人でない限りは、血の痕がついたままのピアノなんて使う訳がないだろう。
鍵盤から血痕は拭き取られていたと考えるのが普通。
「だ、だったらなんだってんだよ。っつーかいつまでこんな辛気臭ぇとこにいなきゃなんねぇーんだ」
「無論、部員だから、だ。そして我らは『研究部』、つまり原因を究明する事がこの部活の有り様なのだよ瑠偉君」
「……」
見事に論破されてしまった瑠偉先輩は反論の言葉すらも出てこない。
あの狂犬、瑠偉先輩を一発で黙らせるみっちゃんは、例えるならどんな狂犬をも一睨みで萎縮させる百獣の王。
「さて、調査を続行する」
正直なところもうそろそろ帰りたいと思っている僕、そんな僕の心を読むようにこちらをその綺麗な瞳で見つめてくるみっちゃん。
僕は苦笑いでその視線をやり過ごし、あまり気乗りしないがもう少しみっちゃんに付き合う事にした。
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