二、夜∽旧校舎

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「天井は首吊りをするのには十分な高さがありますね。下にピアノがあったとしても足がつかないくらいの高さにはなるでしょう」 上を見れば、緑川先輩が言うように確かに天井はそれなりに高い。 もちろん吊り下がったロープの長さにもよるけど、大の大人が首を吊ったとしてもこのピアノに足が届かないくらいの高さはあるだろう。 「ただ、ここで本当に自殺があったかどうかという点については首を傾げる所ですね」 「え?ど、どうして?」 「首を吊るにはロープをどこかに括りつける必要がありますが、ここにはそういった場所が見当たりません。仮に何かしらの方法で首を吊ったとしても、わざわざピアノの上である必要はないと僕は考えます」 さすがは緑川先輩、ただのイケメンというだけでなく鋭い洞察力と知性に溢れている。 かつては剣道をやっていて、かなりの手練れだったという話も風の噂で聞いた事がある。 文武両道の非の打ち所のないイケメンというわけだ。
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