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僕なんかが逆立ちしたって勝てない相手である。
「じゃあもしかして……ここで女の先生が自殺したっていうのは……デマって事?」
「そうとは言いきれませんが、僕としては懐疑的ではありますね」
緑川先輩がそう言うのであればきっとそうなのだろうと、僕は自分の中で結論付けた。
いや、正確に言うならばそう結論付けてさっさとこの場所から出たかっただけなのだろうが、解せない部分が頭の中に引っ掛かってしまっていた。
「で、でもさりゅー君……。さっきのピアノの音は……」
そう、今まさに藍那ちゃんの発言した部分、問題はそこだった。
先程ここにいる僕たち全員が『ピアノの音』を聞いてしまっている。
たとえここで自殺が起きていなかったとしてもピアノが鳴ったのは事実。
他の霊的な何かがここでピアノを弾いていたとでもいうのだろうか。
そこまで考えて僕は我に返り苦笑してしまった。
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