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僕の心音が一際大きな高鳴りを見せるのと同時に、そこに見えた何かを確認しようと視線をさ迷わせるが、もうそこには何もいない。
僕の不審な行動に他のみんなもソワソワと落ち着かない動きを見せる。
「おい!き、急に動くんじゃねーよ!」
「よよよーちん……ど、どうしたの……?」
「……今……ベランダに何かいたような……」
藍那ちゃんは声も上げず顔をひきつらせて僕の背中にピッタリと身を寄せる。
「ば、バカじゃねーの!?んな事ある訳ねーだろ!」
「……ごめんなさい、僕の見間違いかもしれないです」
「いや……」
瑠偉先輩と藍那ちゃんを怖がらせてしまったのでその話を打ち切ろうとしたが、みっちゃんが割って入りそれを制止した。
「遙輔は『見た』のだろう?」
「……うん」
「ならばそこには何かがいた、あるいはあったはずだ」
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