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あの妙な影を見てから僕の中の恐怖が増幅されて、今すぐにでも逃げ出してしまいたい気分だ。
「さて遙輔。さっそく真相を暴く時がきた」
「え?あ、うん……」
「あの腐敗している部分に何か衝撃を与えてみるがいい。それで恐らく、すべてが解決出来る」
「……って、僕がやるの?」
「別に遙輔じゃなくても構わないが?」
一応周りを見回してみたが、結果は変わりそうにない。
藍那ちゃんは激しく首を左右に振り、瑠偉先輩は有無を言わさないといった眼光で僕を睨み付け、緑川先輩は笑顔で僕に『行け』と訴えかけている。
予想していた通りの反応を受けて、僕は選択肢を失い、仕方なく行動する羽目になってしまった。
「遙輔、これを使え」
近くに落ちていた指揮棒を手渡され、ピアノの上に椅子を置き、僕はその上によじ登る。
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