第五章

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斎藤をちらりと見ると口元に優しい笑みを浮かべていた。 その理由は、菜月もすぐわかった。 廊下から何かが響いて聞こえる。 ドタドタ… ドタドタドタ… 音は段々とこの部屋に近づいてきていた。 そして――――― スパンッ 「菜月、いた!」 肩で息をしているところをみると、本当に全速力で走ってきたことがわかる。 「一君、ありがとう!」 藤堂が座っている菜月を引っ張り部屋を出ていった。 「嵐が過ぎ去ったような感覚だ…」 **** 「はい、目、瞑る。」 「?」 「いいからいいから」 菜月はコクリと頷くとゆっくり目を閉じた。 首元に違和感を感じる。 「完璧!」 目を開けると目の前で藤堂がニカッと笑っている。 首元を見ると―――― 「ねっ…くれす…?」 「お前に…お前のための首飾りだ。」 「っ!」 嬉しい… けど…… 今の時代の銀とかは高値のはず… 「もしかしてお金…」 「気にすんなって」 「……」 菜月は唇をキュッと噛み締めると―――――――――― 「な、菜月!?」
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