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斎藤をちらりと見ると口元に優しい笑みを浮かべていた。
その理由は、菜月もすぐわかった。
廊下から何かが響いて聞こえる。
ドタドタ…
ドタドタドタ…
音は段々とこの部屋に近づいてきていた。
そして―――――
スパンッ
「菜月、いた!」
肩で息をしているところをみると、本当に全速力で走ってきたことがわかる。
「一君、ありがとう!」
藤堂が座っている菜月を引っ張り部屋を出ていった。
「嵐が過ぎ去ったような感覚だ…」
****
「はい、目、瞑る。」
「?」
「いいからいいから」
菜月はコクリと頷くとゆっくり目を閉じた。
首元に違和感を感じる。
「完璧!」
目を開けると目の前で藤堂がニカッと笑っている。
首元を見ると――――
「ねっ…くれす…?」
「お前に…お前のための首飾りだ。」
「っ!」
嬉しい…
けど……
今の時代の銀とかは高値のはず…
「もしかしてお金…」
「気にすんなって」
「……」
菜月は唇をキュッと噛み締めると――――――――――
「な、菜月!?」
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