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「あーあ、尚ちゃん菜月ちゃんに取られちゃった。」
沖田がつまらなさそうに藤堂の部屋に入ってきた。
「しょうがねぇじゃん」
「うわ、平助に宥められるなんて…」
「な、何だよ!それ」
言い合いをしていると、桜井の声が耳に入ってきた。
「抱きついたぁ!?」
抱きつくという言葉に、先程の光景が甦る。
「(あれ、嘘じゃないんだよな…)」
「……気になるから見てこようかな」
「あ、ちょ!総司っ」
部屋を出ていった総司のあとに続いて、俺もすぐに出ていった。
桜井はまだ興奮しているらしく、じゃっかん声に落ち着きがない。
「で?敬語無しで"平助"って呼ぶつもりなの?」
「だからまだ思案中なんだって…」
部屋に近づくにつれて菜月の声も聞こえてくる。
「それにこっちはただの平隊士、あっちは組長だよ?」
「ただの…ね…」
「…………」
「そのことで話があって呼んだんだ。」
尚が本題にきりだした。
「あの幻聴のことなんだけど…」
「うん」
幻聴?何のことだ?
藤堂も沖田も耳を襖に済ませ、聞き入った。
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