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「……これはまだ不確かなものだからよくわからないけど…」
尚は目線を一旦下げると今度は真っ直ぐ菜月の顔を見た。
「『予知能力』だと思う」
「予知……能力?」
菜月は目を見開いた。
予知能力なんて本当に存在したの…?
「何でそんなことが…」
「実は…」
尚は今度は菜月から目線を逸らし、言いにくそうに呟いた。
「私、菜月が死んじゃうところ見たの」
「え……?」
「でも、それは変わった!だからきっとこれから映るものは、近いうちに起こることなんだと思うのよ…」
「これから起こること……ねぇ、まさかそれをうちらが止めるってわけ?」
「…………」
「多分……本当に多分、映るものは、変えなきゃいけないものなんじゃ…」
「なるほど…っ!」
菜月が尚の口を手で塞ぎ、自分の口元の前で人差し指を立てた。
「しっ…邪魔が入ったみたい」
菜月は自分の近くに置いてあった投げナイフを手に取ると
シュッ
と一点目掛けて投げた。
「どわっ!あっぶね!!」
「平助、声でかい」
「あ…」
「何やっているんですか?藤堂組長…」
「盗み聞きとは悪趣味ですよ、沖田組長…」
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