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菜月が俯いている。
どこかその表情は悲しげだ。
桜井は青い顔をしている。
なぁ、やっぱりお前、敵だったのか?
「もう一度聞くけど、君たち長州の人間?」
総司の声が届いていないように見える。
「(何で答えないんだよ…菜月!!)」
俺は苛立ちを感じた。
違うなら違うとハッキリ言って欲しい。
何で答えないんだよっ…
グイッ…
「答えろ!」
俺は菜月の胸ぐらを掴み上げた…
「――っ!!」
菜月の目は…………
―――――闇だ。
「菜月…」
「ははっ…!」
ヒュッ…
「っ!!」
桜井の声らしくない低い声が聞こえた後…、俺の頬を冷たいものがかすった。
何か暖かいものが頬を伝った。
「平助!」
桜井の刀の切っ先に赤い液体がついている。
「離れろ…」
「っ…」
俺が離れると同時に菜月も抜刀した。
「「殺る?」」
ゴクッ…
俺が菜月に刀を向ける?
………っ
「「受けてたつ」」
2対2の真剣勝負。
気を許したら、
―――――斬られる…
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