第五章

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尚はある一つの部屋の襖を乱暴に開けた。 中には女子が座っていた。 椿と百合だ 二人は急な尚の登場に驚いていた。 「な、何か…」 「っ…」 あのとき、尚に睨まれたのを覚えていたのか二人は後退りしていた… 「菜月はどこよ!」 尚は手前にいた椿の胸ぐらを掴みたてた。 「ひっ…」 「何処!?答えてよっ」 「し、知らない…知らないわよっ」 「尚ちゃん!!」 そこへ、後から追いかけてきていた沖田たちも到着した。 沖田は入ってくるなり、尚を椿から離した。 「落ち着いて、尚ちゃん。」 「はぁっ…はぁ…」 まさか菜月ちゃんが見つからないだけでここまで…。 沖田は…いや、他の人達も驚いていた。 いつも冷静さだけは欠けない尚が、たった今崩れている。 それほどまでに尚の中の菜月の存在は大きいのだ。 「……もぅ…嫌…」 尚がポツリと呟いた。 「あ、あのさ…」 平助がおもむろに口を開いた。 「菜月って隠れるの得意?」 「……?」 「隠れるじゃなくても、隅っことか好む?」 「隠れるのは得意…でした。隅っこは…まぁどちらかといえば…」 「そっか、ありがとな!」 平助は尚にお礼を言うと顔に笑みを浮かべながら続けた。 「菜月の居場所、わかった!」
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