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藤堂が抱きかかえながら菜月を中から出したときには、その場にいた全員が驚愕した。
「ほ、本当にいた…」
「でもよく平助わかったね…」
「いやさ、こいつが桜井を置いてどっかに消えるとも思えねぇし…それにそんな気力、今の菜月にはねぇから。」
確かにその通りだ、と全員が全員納得した。
何故なら、今菜月は藤堂に抱かれている。
いつもの菜月なら、蹴り飛ばすか殴り飛ばすのどちらかで、意地でも抜け出そうとする…しかし、今は何もしない。
それほど精神的に参っている証だ。
「また心配ばっかかけて…もぅ…」
尚は安心しきったのか、膝からガクリと崩れ折れた。
「尚ちゃん…?」
「体に力…入りません…」
尚はそのままくたぁとその場に横になった。
沖田はすぐさま尚の額に手を当てた。
「風邪が振り返したみたいだね…」
沖田は、尚の膝裏と脇に素早く腕をまわすと土方に一言言ってから出ていった。
「この様な状態なので、お話とやらはまた後日でお願いします」
「あぁ…」
「あ、あのさ…俺もちょっと出掛ける所があるから、菜月頼む!」
藤堂は、菜月を土方に押し付けると部屋をもうスピードで出ていった…。
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