第五章

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「そうか――」  目が見えぬ為に疾走感を視覚で感じることはできないが、それでも満足そうであった。 「パウナ、両親はどんな人だった?」 「両親ですか?」  聞いてしまってからアーロンは辛いことを思い出すかもしれないと、少し後悔した。 「お父さんはとっても頼もしくて、よくわたしを肩の上に乗せてくれました。お母さんは誕生日になると必ず服を作ってくれました」 「そうか素晴らしい両親だったのだな」  どこか遠い表情をするパウナに、アーロンの言葉は穏やかだ。  トライアローを一周させ、馬から降りるとアーロンとパウナは見物する調教師とサーバインの場所に戻った。 「さて、会社にいくぞ」 「はい」  声をかけてから馬車に乗り込みアーロン一向は会社に向かった。
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