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陽がもう沈み掛かろうとしている。
「う…あなた…お腹が…痛い…!」
食器を洗っていた裕之は慌てて優子に駆け寄る。
「ゆ、優子!?大丈夫かっ!?ど、ど、どうしたらいい!?救急車!?」
「う…ん…救急…車…」
「110!?」
「ひゃく…じゅうきゅう…は、はやくっ…!」
「そっか!わかった!もう少し頑張れよ!!」
裕之は抜けたところが多い男だ。
だが、優子はそこが好きとよく言う。
心は人一倍優しいのだ。
…ピーポーピーポーピーポー…
救急車のサイレンが聞こえ、藤原宅に着いたらあっというまに優子は救急車に運ばれた。
「かなり危険な状態です!」
「妊婦か…陣痛には早すぎる…流産の可能性がある…!」
医者とナースとのやりとりを聞いて裕之は不安に陥った。
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